(9) 感情について <嫉妬> |
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2014年 10月 13日
(読書ノート) 『絞り出し・ものぐさ精神分析』 岸田秀 (青土社) <足を引っ張りたい心>(嫉妬、この厄介なもの) P191~ 嫉妬は人間特有の感情である。 嫉妬とは、嫉妬の対象を貶め、破壊してしまいたい攻撃衝動である。 なぜ人間だけが嫉妬という厄介な感情を持つに至ったかというと、それは人間が本能の壊れた動物だからである。 本能が壊れた人間は、動物のように本能に基づいて現実の状況に適応できないので、つねに不安である。 そこで人間は、本能の基準の代わりに、自我を基準として行動するという策を考え出した。 自我は幻想であって、本質的に不確実、不安定である。 したがって、自我が安定するためには、外部のなんらかのものに支えられる必要がある。 → 人びとに好かれるとか、愛されるとか、尊敬されるとか、恐れられるとか。 → 地位とか、役割とか、名誉とか、財産とか、業績とか。 (女に振られて、男は嫉妬し、女を殺したり、恋敵の男を殺したりする。) ・・・女に振られたことは、彼の自尊心を傷つけ、自我の安定を崩した。 彼は崩された自我の安定を回復しようとしたのである。 「隣の貧乏は鴨の味」というが、隣の人が貧乏であっても、何ら彼の生存に役立つわけではない。 隣の人が裕福であれば、彼は自我が不安定になり、嫉妬に苦しむのである。 嫉妬とは、自我の安定を脅かす者に対する攻撃行動である。 本能が壊れた人間は、嫉妬するのを免れることはできない。 嫉妬は、人間の最も基本的な感情であり、嫉妬しない人間は存在せず、個人や民族や国家の歴史は嫉妬で動いていると言っても過言ではない。 人間は自分と他人を比較するのを止めることができない。 なぜなら、人間は他者との関係においてのみ何かであり得るのだから。 人間は他者との関係において意味ある存在、価値ある存在、優越した存在、誇りをもてる存在であることを必要とする。 本質的に不確実、不安定な幻想である自我は、それを支える意味、価値、優越、誇りを欠くことができない。 つまり、自我は、意味、価値、優越、誇りに関して、自分より劣る他者を必要とするということである。 自我は幻想であり、本質的に不安定であって、完全に安定することはあり得ない。 ところが、人間は自我が不安定であることに耐えられないので、何とか自我を安定させようと焦る。 そのため、人間の争いは限度のないものとなる。 人間は、自我の安定のために、自分が他者に勝つこと、他者より優越していて価値があることを求めるので、どこまでいっても最終的に満足することはない。 自分が他者より優越していて価値があるためには、自分より劣等で価値が低い他者が必要であり、そのため、他者を劣等で価値が低い立場におこうとする。 人間の争いは、個人の場合も民族や国家などの集団も、現実の利害得失をめぐってではなく、自我の安定、権威と誇りの維持をめぐって、それを脅かす者を引きずり下ろそうとする嫉妬を動機とする争いが主であり、そのような争いは、百害あって一利なきものであるが、人間とはそのような争いを免れることができない哀れな浅ましい動物であることを明確に自覚しておくことが、国家間においても個人間においても、嫉妬がもたらす害毒を、なくすることはできないまでも、できるだけ少なくする唯一の方法ではないかと思う。
by omoinoha
| 2014-10-13 09:26
| 非心理学者が語る心理学
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