村上春樹が今年もノーベル賞を逃した理由 |
村上春樹のファンの一人として、切にノーベル賞の受賞を願ってはいるけれど、受賞しないからといって、当然のことながら作品の価値には変わりない。
でもなぜノーベル賞の選考委員は、村上春樹にまだ賞を与えないのだろう?
ノーベル賞の選考委員のことを好意的に評価して、私は勝手にこう想像している。
村上春樹が目指しているのは『カラマーゾフの兄弟』のような小説であり、彼にとっての『カラマーゾフ』の物語を書くことが目標、とたしか彼自身も述べていたと思う。
選考委員もきっとその物語を早く読みたいのだ。
その作品の誕生を切望している。
もし先にノーベル賞を与えてしまってその作品が誕生しないことになったらとても困ったことになる。
だから村上春樹が彼自身の『カラマーゾフ』を書き上げるまで、ノーベル賞はお預け、それが選考委員の真意である、というのが想像。
そしてこの私も、村上春樹がノーベル賞を受賞することより彼の『カラマーゾフ』の誕生を切望し、それをいち早く読みたいと願っている、まことに身勝手な読者なのである。