心の発達のゴールは自己である(ユング) |
ユング自伝Ⅰ (P244~)
私にとって、奇妙な内的世界の対極として、現実世界における普通の生活をすることは最も重要なことであった。
「われわれが内的人格の欲することや、語ることに従ってゆくならば、苦痛は消え去る。」
これは、私がアカデミックな経歴を棄てたときのみならず、何度もくりかえし経験したことである。
……しかしながら、マンダラを描き始めてからは、すべてのこと、私が従ってきたすべての道、私の踏んできたすべての段階は、唯一の点(すなわち中心点)へと導かれていることが解った。
マンダラは中心であることが段々と明らかになってきた。
それはすべての道の典型である。
それは中心、すなわち個性化への道である。
私は心の発達のゴールは自己であることを理解し始めた。
それは直線的な発展ではなく、自己の周囲の巡行のみである。
均一な発達は存在するが、それはたかだか最初のころだけで、後になると、すべてのことは中心に向けられる。
この洞察は私に安心感を与え、私の内的な平和が徐々にもどってきた。
マンダラを自己の表現として見出すことにおいて、私は自分にとって究極のことに到達したと知った。
多分、誰かはもっと多くを知っているかもしれない。
しかし、私にはこれ以上のことはない。
誰も中心を越えてゆくことはできない。
中心がゴールであり、すべてのものが中心に向けられている。
自己が方向づけと意味の原理であり元型である。
その中に治癒の機能が存在している。