法律に頼ることができない日本の“市民” <ウォルフレンを読む(13)> |
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(読書ノート)
ウォルフレン・著 『日本/権力構造の謎』 (1章)ジャパンプロブレム
この国では一見したところ、個人に対して特に強力な弾圧があるようには見えない。
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2016年 03月 25日
この国は法治国家と言えるのだろうか。
いまこの国全体を覆い始めた空気に危ういものを感じるし、恐怖を感じている。 ジョージ・オーウェル『1984年』の世界を、まさかこの国で現実のものとして体験することになろうとは、想像すらしていなかった。 ----- (読書ノート) ウォルフレン・著 『日本/権力構造の謎』 (1章)ジャパンプロブレム この国では一見したところ、個人に対して特に強力な弾圧があるようには見えない。 独裁者がいるわけでもない。 それどころか、政治的権力のはっきりした中核さえ存在しない。 外国人が日本に長く滞在していても、たとえば警察権力や政府機関などによる抑圧があるとはなかなか気づかない。 日本についての文献に充満している記述は、「調和をめざして努力する協調一色の社会」というようなものである。 一言で言えば、日本の権力は高度の分散型で、それゆえ浸透力はいっそう強いにもかかわらず、すぐにはなかなか気づかないだけである。 「権力」という言葉は忌み嫌われる。 そこで、権力の汚い部分を無害なものにするため、権力というものは集団の意思決定に基づく合理的な力関係であるとみなされるようになった。 しかしこのような見方は、権力が持つ危険な概念の本質を見失わせる。 権力には、”牙を剥き、爪を立て、歯からは血を滴らせる”ような凶暴なもの、つまり“悪”そのものがその本質として存在する。 たとえば権力が情け容赦なく使われて、そのために国がまっしぐらに大災難に向かって突進している姿など、権力の本質を見失ってしまえば想像することさえできないだろう。 民主的に成立している社会においては、権力をどのように制限するかについての事前の合意があってはじめて、責任と義務を細分化することが可能である。 ところが、日本の“市民”は実際上、もし何かがあったときに法律に頼ることができない。 それどころか、「市民」と「臣民」は違うということすら、ほとんど理解されていないようだ。 日本の権力には油断ならないところがある。 日本の権力保持者は組織的に権力を行使する。 その方法と目的を、日本の有権者は究極的になんらコントロールできないのである。 日本の”システム”は(1989年時点の)現在、今世紀のどの時期よりもうまく機能している。 (「政治など存在していないと思わせるのが政治の最高かつ危険な機能である」と、岡田憲治さんも述べていた。 これまでの日本の政治は、支配者にとってはもっとも理想的に、かつもっとも危険な状態で機能していた、ということである。) 1945年の敗戦は、戦前と戦後の2つの時代を明確に分ける転換点であると考えられている。 しかし一般に考えられているほど、それは日本の政治の分水嶺にはならなかった。 戦前および戦時中の官僚的な権力組織から軍部を除いただけという組織が、戦後その力を強化して、今またその力の強化が進められている。 (つまり、今の組織にまた軍部を加えさえすれば、また戦前・戦中と同じ体制がいとも簡単に復活する、ということなのだ。) (この国の権力構造の本質は、戦後になってからもその本質はほとんど変わっていなかった、ということなのである。) -----
by omoinoha
| 2016-03-25 15:50
| ウォルフレンを読む
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