愛はお金では買えない |
愛は愛としか、信頼は信頼としか交換できない。
愛されるためには自らが愛を生み出せる人間に、信頼されるためには自らが信頼に値する人間にならなければならない。
このことをマルクスがみごとに表現しています。
人間を人間とみなし、世界に対する人間の関係を人間的な関係とみなせば、
愛は愛とだけ、信頼は信頼とだけしか交換できない。
その他も同様である。
芸術を楽しみたければ、芸術の修行を積んだ人間でなければならない。
人びとに影響をおよぼしたいと思うなら、実際に他の人びとをほんとうに刺激し、
影響を与えられるような人物でなければならない。
人間や自然に対する君の関わり方はすべて、自分の意志の対象にふさわしいような、
君の現実の、個人としての生の明確な表出でなければならない。
もし人を愛してもその人の心に愛が生まれなかったとしたら、
つまり、自分の愛が愛を生まないようなものだったら、
また愛する者としての生の表出によっても、愛される人間になれなかったとしたら、
その愛は無力であり不幸である。
マルクス「経済学・哲学草稿」(フロム「愛するということ」P47から)
マルクスがヒューマニストであることを認識させられると同時に、マルクスのメッセージが心の奥深くまで届いてくるすばらしい文章です。